サウナと野球と時々カメラ

意識の低い政治学徒だった人の日記。週末サウナー。

服部泰宏(2023)『組織行動論の考え方・使い方:良質のエビデンスを手にするために 第2版』有斐閣

 忙しさにかまけて読書の習慣がなくなっていたのですが、ふと書店に立ち寄った際に、人事労務経営学の棚を覗いてみたところ、初版の時から気になっていた本書に第2版が出ていることを発見したので、買ってみることにしました。興味が失われないうちにと読み始めたところ、学部〜修士政治学をやっていたときに感じていた学問のレリバンスに関する議論に惹きつけられた上に、最近失われていた仕事に対するモチベーションがなぜ減退しているのかを客観的に理解するきっかけともなったので、色々な意味で面白い書籍でした。

組織行動論の研究書として:問題意識の面白さ

 本書で展開される議論の前提として著者が持つ問題意識は、「組織行動論の領域に絞って、科学が実践に役立つとはどういうことか」を考えることとされています(p.ⅱ)。私の学問的バックグラウンドは同じ社会科学の一部である政治学という領域で、こちらでも同様の問題意識を持った研究者がいらっしゃる印象なのですが、本書を後半まで読み進めていく中で政治学と大きく異なると感じた点があります。それは、第17章で展開される議論です。特に印象的だった一節が以下です。

 筆者には、EBMgt(引用者注:Evidence Based Management)の議論が、ともすれば「実践家の間違った常識を科学的なエビデンスによってただす」というトーンになってしまっていることが残念でならない(Rynes et al., 2007)。重要なのは、どの「世界」が最も優れているか、あるいは正しいかではなく、自分たちが生きている世界について「知っている」ということに謙虚であり続けることである。研究者にも同じことが言える。本書では、「科学的な知がしろうと理論を相対化し、鍛え上げる」ことを議論してきたが、その反対、つまり現場の実践家が抱くしろうと理論によって科学的な知が触発され、鍛えられるという側面もあるだろう。(p.325)

 本文中でも出てくるのですが、本書のキーワードの一つに「しろうと理論」というものがあります。しろうと理論とは「経験知」と言い換えられるのではないかと思いますが、これが研究者が追い求める科学的な知の創出にも貢献しうるのではないか、と主張が本書の面白いところだと感じました。

 政治学の文脈で、「学問が実践に役立つ」という話になると、「研究で得られた知見を活用した政策選択(Evidence based policy making)が大切だ」という規範的な話が出てくることがあります。第一線の研究者が研究の知見を一般読者にもわかりやすく伝えるために書かれた書籍もあり*1、これはこれで非常に大切な取り組みだと思うのですが、本書を読む中で刺さったのは、上記引用の中にもあるように「実践家の間違った常識を科学的なエビデンスによってただす」というトーンになっているのではないか、という部分でした。政治学に取り組んでいたときは、「行政組織の中にポリサイ(political science)の知見が広まれば、よりよい意思決定や政策選択がなされるのでは」なんて無邪気に思っていたこともありましたが、これは裏を返せば「正しい(と自分が思っている)意思決定や政策選択が行われないのは、政治学の知見がきちんと知られていないため(だから勉強するべきだ)」的な上から目線の発想に他ならず、こういうところに大学が象牙の塔なんて言われる所以なのでは…と思ったりしました。

 ともかくも、本書全体を通じて提起される「研究者が科学的なアプローチで生み出した知が実践で使われる」という一方的な貢献だけでなく、「実践側が持つしろうと理論を研究者が知ることで、新たな知が生み出されるのではないか」という主張が、とても新鮮に感じた次第でした。

組織行動論のテキストとして:自己理解の深度化

 ここからは極々私的な話になるのですが、今の部署に異動して以来、仕事そのものに対するやり甲斐はとても大きいものの、上司との期待値が合わずモティベーションが損なわれてしまうことが多々ありました。今までも何冊か組織行動論に関する書籍は読んできたつもりではいたのですが、本書の第2部を読んでいて、何が自身のモチベーションを損ねる要因になっているのか、ストンと腹落ちしたような感じがあったので、文章として残しておこうと思います。

 本書の中で、特にモチベーションに関する解説は第9章で行われています。ここによると、仕事に対するモチベーションは主に①着手段階、②中途段階、③結果・完了段階の3段階に分けて説明されています。これまで私が働いている中でモチベーションが失われたと感じる機会が多かったのは、主に③結果・完了の段階でした。特に③の段階では、「タスク遂行の結果としてもたらされた成果に応じて、報酬などの形で何らかの処遇が行われることで、次のタスクに向けた仕事モティベーションが形成される」(p.171)とされています。私の実感としては、社内でも上位数%の超勤を行わないと回らない業務分担を割り当てられているのに、上司としては前任者もこの業務分担で回していたのだからそれぐらいやって当然という認識だったので、筆者としてはプライベートを削りながら必死に成果を出しているのに、平均レベルの処遇しか得られないのか…と感じてしまい、仕事に対するモティベーションが損なわれていたわけです。「これぐらいやって当たり前」と考える上司と、「前者で上位数%もの超勤で回しているんだから、その分の成果は認めてほしい」と考える私の認識が相違しているわけです*2。ここで再び本書に戻ると、これは第11章で出てくる「心理的契約(psychological contracts)」で説明できるのではないか、と思い至りました。

 心理的契約とは、デニス・ルソーが提起した概念で、具体的には「組織と従業員の間に具体的な相互期待に関する合意が成立しているという、従業員の知覚」だとされます(p.213)。前任者から業務を引き継ぐにあたり、「残業が多いから覚悟しておいた方がいい」と言われていた私は、「前任者から引き継いだ膨大な残業を前提とした業務量をこなしているのだから、アウトプットの量もそれ相応にあるわけで、然るべき評価がされるべきだろう」という個人的な信念を持っていたのに対して、上司からの評価は平均的なレベルにとどまっており、相互に持っていた期待値がずれていたことで、私としては心理的契約が反故にされたと感じたことで、モティベーションの低下をもたらしたと言えそうに思いました。もともと、現所属では上司から「どのようなことを期待しているか」というのが明確にされないままタスクが割り振られることが多く、私と上司の間の相互期待がズレやすいというのも原因としてあるのでしょうが、心理的契約の不履行が職務満足や組織コミットメント、離職意思の上昇につながるというのは、個人の実感としても非常に納得感がある議論でした。

おわりに

 上記のようなモチベーションの低下はありつつも、人事の仕事というのはさまざまな研究成果を実務に織り込むことができるという意味で、これまで経験してきた営業や経営企画よりも私の性に合っている仕事ではないかとよく思います。学生時代から新しいことを勉強したりデータを分析するのは好きだったので、経営学の知見を摂取したりピープルアナリティクス的なところとも相性が良いので、もう少し人事の面白さに浸るべく、組織行動論ひいては経営学をちゃんと勉強していこうと思いました。

*1:砂原庸介(2015)『民主主義の条件』東洋経済新報社とか待鳥聡史(2015)『代議制民主主義―「民意」と「政治家」を問い直す―』中公新書などは個人的にオススメです。

*2:前任者も私も年間5-600時間ぐらい超勤してようやく回している業務量なので、どちらかの能力が低くて回しきれないということはないと考えています。

曽和利光(2018)『人事と採用のセオリー:成長企業に共通する組織運営の原理と原則』ソシム

 人事として仕事をするにあたり、部署内のさまざまな業務がどのように関連し合っているかを頭の中で整理しようと思い、本書を読むことにした。OJTの名の下に「とりあえず目の前の業務を頑張れ」的な状態になりがちなうちの会社なので、業務の全体像は自分で理解するように意識しなければならない*1

 さて本書。『人事と採用のセオリー』という書名にもあるように、「成長企業は一様に、組織運営の原理と原則に基づいて、人事と採用を行っている」(p.3)ことを踏まえ、そのセオリーとは一体何なのかを論じようという本である。すべての企業に当てはまる一般的なセオリーはないとしながらも、「心理学と組織論をベースにした人の行動科学」に基づきながら、「成長企業は、事業モデルや市場環境、人員構成や企業文化に基づいて、自社にフィットする組織や制度を選んでいる」(p.4)。したがってこのような心理学と組織論を踏まえて組織運営を行うべきではないか、というのが本書の基本的な問題意識になるわけです。この問題意識を持ちながら、1-5章では人事のセオリーとはいかなるものか、6-10章では採用のセオリーとはいかなるものか、が論じられていきます。

Part1 人事のセオリー

1章 そもそも、人事の役割とは何か

 第1章では、人事の役割を整理します。ここでは採用、育成、配置、評価、報酬、代謝という6つの機能があるとします。その上で、それぞれの役割はバラバラに遂行されてはならず、一貫性を持って業務に当たらなければならないことが論じられます。簡単に言えば、新卒採用で人材の大半を獲得しているのに入社後の教育にリソースを割かなければ戦力として伸びていかないでしょうし、どのような社員が活躍しているかという分析の結果と無関係に新卒採用面接の評価基準を設定したり、という状況は各業務の一貫性がないわけです。どのような一貫性を設定するかは、事業内容や市場の成長度合いによって変わってくると思いますが、事業環境に左右されない企業風土など「容易に変わらないもの(p.26)*2」を踏まえて設定するのが良いのではないか、とされています。

2章 組織の成長に応じて、人事の考え方は変わる

 第2章では、企業が成長する中で人事方針も変わりうるということを論じています。少人数の組織であれば1人の管理者ですべてマネジメントすることができますが、一定の人数*3を超えると中間管理職を設置してマネジメントしなければなりません。少人数であれば、がむしゃらに顧客満足を提供し続けることをモチベーションの源泉にしても良いでしょう。しかし人数が増えてくると、部下のモチベーションをどのように高めていくかが変わってきます。目標を与えて自由なやり方をやらせてみるのか、事前に各部門に計画を策定させて部分最適を修正してみるのか、やり方によってモチベーションの与え方が変わってくるということが論じられます。

3章 採用と代謝は1つの流れで考える

 第3章は、採用と代謝(退社?)はセットで考えなければならないことが主張されます。組織としてあるべき人員構成がある中で、役職の数には限界があり、ピラミッドの上位まで残れる人には限界があります。無理して採用しすぎると、将来的に人員が膨れ上がってしまい、強制的に代謝させなければならない状況に陥るかもしれません。こうなったときに、強制的に代謝させるのは企業にとっても従業員にとっても負担が大きいです。
 基本的に、人事の中で最も優先するべきは、まだ見ぬ人材のリクルートである採用で、ここに力を入れなければ人材不足を招きかねません。他方、あるべき人員構成を達成する以上に採用に力を入れすぎると、ポスト不足に陥ります。こうならないためには、退職率のマネジメントが必要になります。場合によっては、意図的に退職率を上げるためのマネジメントも必要になってくるわけです。社外に持ち運べるポータブルスキルを身につけさせる教育研修に力を入れることで、退職率を上げることができるという観点は、言われてみれば納得感がありますが、目から鱗でした。

4章 配置によって人を育成する

 第4章は、人材育成のために配置を行うという点が論じられます。短期的に見た時に一番成果を上げやすいのは、人材の再配置を行わず現状維持しておくことです。再配置を行うと、新たな業務の習得に時間を要しますし、環境の変化は社員にも組織にも負荷を与えます。しかし、中長期的に見た場合、新たな環境へ容易に適合できたり、新しい能力や考え方を習得できる人材が多い方が、組織全体の成長に貢献します。今の業務をこなしつつ、将来に向けた人材の再配置も考慮し、最適な異動バランスを見極めるのが配置なのです。
 配置の際に重視するべきなのは、個人の能力が中心となります。しかしそれだけではなく、配置する人と配置先のメンバーとの相性も見なければなりません。働く人のマッチングが悪いと、離職リスクを高めてしまうのです。マッチングの良い相性とは一般的に、同質的な組織と、メンバー間の補完的な関係を重視する組織があります。どちらを優先するかは、組織が対処するべき課題を見ながら判断するのがよいとのことです。

5章 評価と報酬では納得感を担保する

 第5章では、評価や報酬をモチベーションの源泉とするためにはどうするべきかが論じられます。納得感のある制度設計はどのように行うべきか、という点です。ところが、評価や報酬の制度はいわゆる「外発的動機付け」なので、ここに力を入れすぎると、「内発的動機付け」を阻害してしまいます。そこで、まずは評価・報酬に関する制度は、いきなり完璧な制度を設計しようとするのではなく、まずは不満を持たれないような納得度を目指すという観点を持つことが大事とされます。「評価と報酬のルールを決めるのは、理想を実現する行為ではなく、不完全であることを承知の上で、最大多数の最大幸福を探る行為なのです」(p.111)。
 何を評価の対象とするべきか、という観点からは、いくつかの要素があります。生活・役割・能力・行動・成果・過去の功績などです。とはいえ、最終的には何を評価すれば社員の納得感を得られるかが大事です。絶対評価相対評価のどちらを選ぶかも含め、どうすれば納得感のある制度になるかを考えなければなりません。

Part2 採用のセオリー

6章 採用計画はどのように立てるのか

 第6章からは採用のセオリーに入ります。ここでは、採用の一番最初に行うべき、採用計画の立案が論じられます。よくある勘違いが、各部署で不足する要因を補う手段が採用という考え方です。ただし、すべて内製で採用しなければならないかどうかは別の考え方です。まずは業務委託や外注で対応できないなど、採用で対処するべき人員数を決めていきます。
 人数が決まったら、どのような人物を採用するか、求める人物像を設定します。ここは自社の業務を適切に遂行できる人材はどのような能力・性格かを推定して導き出す演繹的なアプローチと、成果を上げている現役社員を分析して導き出す帰納的アプローチが考えられます。「一般論ですが、事業環境が安定している場合、現在のハイパフォーマーから抽出した帰納的アプローチが有力で、事業環境が激変している場合、演繹的アプローチが有力です。特に近い将来、これまでと異なる人材が必要になりそうであれば、演繹的アプローチを重視した方がいい」(p.157)とのことです。
 求める人物像が定まったら、さまざまな要素の中から何を重視するか、優先順位をつけていきます。特に意識するべきは、入社後の育成が難しい先天的要素か、入社後に伸ばすことができる後天的要素か、という観点です。先天的要素を持つ人物を採用し、後天的要素は採用後の教育研修で伸ばしていくというアプローチをとるのが良さそうです。

7章 候補者集団を形成し、選考する

 第7章では、採用の候補者集団(採用母集団)をどう作って絞り込んでいくかを議論します。第6章で作り込んだ求める人物像にリーチする採用プロモーションの手段は、オーディションのようなPULL型と、スカウトのようなPUSH型に分けられます。自社ブランドが強く、求める人物像にとっても魅力的なものであればPULL型プロモーションを重視し、自社ブランドが固まっていなかったり知名度が低いなどの場合はPUSH型プロモーションに力を入れるのが良いとされます。PULL型で重要なのは、「求める人材のみを集める」という点です。RJP: Realistic Job Previewを行うなど、求めていない人材には諦めてもらうセルフスクリーニングを実現することで、PULL型プロモーションの効率化を目指します。ただし、序盤からRJPを行ってしまうと、求める人物像も離れてしまうかもしれません。まずは興味を持ってもらい、その後RJPを実施するのが重要です。
 採用母集団を形成できたら、どうやって選考していくかを設計していきます。選考プロセスは①歩留まり、②ステップ、③コンテンツという3つの要素で構成されます。歩留まりについては、エントリーしてから内定に至るまでの、受験率、選考各ステップの通過率、途中辞退率、内定辞退率などを指します。これをどの程度で想定して進めていくかを検討します。一般的には、過去の数字を見ながら歩留まりを予測することが多いですが、これまでの取り組みがベストプラクティスではない可能性もあるため、本当にそれでいいのかは少し気を遣っても良いかもしれません。
 続いてステップとコンテンツの設計です。何回選考するか、選考期間はどれぐらい確保するか、どのような手段(面接・筆記ほか)を採るかなどです。歩留まりのモニタリング状況を見ながら、採用人数が少ないのであれば重めのESを設定する、エントリーを増やしたいのであれば説明会の頻度やチャネルを増やすなど、自社の置かれた状況を見ながら作り込んでいきます。

8章 面接の質を向上させる

 第8章は面接の作り込みです。いかに質の高い面接を行うかという観点です。まずは面接の基準づくりです。面接は1回ではないので、どの面接で何をみるかをきちんと検討し、面接で見極めるべき焦点を明確にしておきます。初期の選考では質問意図を理解しているか、的確に応答できているかなど基礎能力に注目し、中期の選考ではパーソナリティや自社の理解度などによってスクリーニングし、最終選考では相対順位を決めて誰に声をかけるかを見極めていきます。
 質問で何を聞くかという点も重要です。まず聞くべきは、候補者の過去のエピソードです。エピソードに対して何を思ったかではなく、事実そのものをきちんとヒアリングすることで、コミュニケーション能力や論理的思考力がわかります。そのエピソードは、他の人と関わりながら頑張ったことや、苦労したエピソードであると望ましいです。会社では一人で業務にあたることは少ないですし、困難に直面した時にどう行動するかがわかるためです。

9章 優秀層を確保する

 第9章は、優秀層をどうやって確保するかです。8章の中で、後期の選考では相対順位を決めていくとありましたが、最終面接の中では順位づけをしていかなければなりません。可能であれば、最終選考は少数の担当者で行うのが理想的です。面接官が増えれば増えるほど、基準にばらつきが出るからです。
 もう1つ、採用担当として知っておくべき黄金則として、「新卒・中途を問わず、ほとんどの採用において、初期の応募者の方が優秀層であることが多く、内定が出る確率も高い」(p.227)というものがあります。これを前提に、同じステップの面接でも、初期で合格率を上げつつ後期はハードルを上げて調整することで、初期に来た優秀層を手放さないようにすることができるのです。
 しかし、優秀層は他の企業からも引く手あまたです。辞退されてしまう確率も上がります。こうならないように、内定者フォローにも注力しなければなりません。採用担当者のパワー配分は、優秀層のフォローに一番力を入れられるよう、選考プロセスそのものを工夫しなければならないのです。運営にリソースを割くのではなく、そこで見つけた優秀層をどうフォローするかを考えなければなりません。
 フォローにおいて重要なのは、「仕事やキャリアに対する内定者の思考や価値観」(p.242)です。どのような不安を抱えているかをヒアリングし、その不安解消に努めなければならないのです。その際、内定者がすぐに心を開くことはありません。まずは採用担当者自身が自己開示することで、内定者の共感を得ることが大切になってくるのです。

10章 中途人材や外国人を確保する

 第10章は、中途採用や外国人の採用です。新卒採用と中途採用の大きな違いは、人材エージェントが間に入るかどうかが大きいです。このエージェントをどのように活用するかがポイントになってきます。エージェントのモチベーションを高めるための手段の1つとしては、1社のエージェントとエクスクルーシブな契約を締結することが挙げられます。特定のエージェントにしか人材の紹介を依頼しないことで、そのエージェントのモチベーションをアップさせることができます。この他、エージェントが紹介してくれた人材にはできるだけ多く会うというのも、エージェントのモチベーションを高める上では有効です。紹介した候補者が門前払いされて気分のいいエージェントはいませんので、まず会ってみるという態度を示すことも重要になってきます。さらにエージェントとの信頼関係を構築していく上では、不合格とした人に理由を明確に伝えることも重要です。エージェントに不合格理由を明確に伝えることができていれば、エージェント側も学習してマッチングの精度が上がってくるのです。その他、エージェントに求人案件をメールで送るだけでなく、事務所に出向いて担当者に人物像を紹介することも有効です。求める人物像が明確に伝わるだけでなく、エージェントとの信頼関係も強まります。

感想

 以上、『採用と人事のセオリー』の概要である。個別のプロセスの中で「こうしたら良い」という気づきもいくつかあったものの、全体としては①会社として人事に一貫性を持たせなければならない、②一貫性の中でモチベーションマネジメントをきちんと行うことで人事施策がより高い効果を上げる、という2点がポイントであるように感じた。
 ①については、自社の現状を見るに、個別の施策の連携が取れておらず、採用は採用、育成は育成、配置は配置、という状況にあるので、人事課として一貫性を持つという点に管理職を意識づけしていく必要があるように思う。
 ②については、第5章と第10章でそれぞれモチベーションに関する話が出てきたことにある。社内の人材のモチベーションマネジメントには納得感が重要であるという話と、外部の人材獲得に当たってもエージェントのモチベーションを高める取り組みが有効という話になっていて、社内外を問わず相手のモチベーションをどう高めていくかが人事としての関心事であるべきなのだろうと感じた次第です。

*1:個々人で問題意識を持ちながら仕事をするという意味では大事だが、若手に対してそういう指導をしているわけではないのが微妙なところである。

*2:ここでは事業戦略、社会的な使命やビジョン、経営者の考え方や価値観、組織文化、従業員の特性、などが例として挙げられていました。

*3:本書ではイギリスの経営学者アーウィックの議論を踏まえ、1人の管理者がマネジメントできる人数は6名ほどとしていました。

カプセルホテルのチェックアウト時間を調べてみた

 今週は仕事が忙しくてかなり疲れたので、金曜日はサウナのあとすぐに寝たいと思い立ったため、go to トラベルキャンペーンを使ってサウナ併設のカプセルホテルへ行き、サウナ即就寝を試みることにした。この疲れ具合だと朝も相当寝続けるから、チェックアウト時間が限りなく遅いところにしようと考えた。ところが、チェックアウト時間からカプセルホテルを探すサービスがなさそうだったので、いろんなカプセルホテルのサイトをめぐって調べることになった。せっかくなので、久しぶりのblogで調べた結果をまとめておこうと思う。

 ちなみに筆者はサウナに行く前提で調べているため、サウナイキタイに掲載されていないカプセルホテルは調べていないので、注意されたい。情報は概ね2020年10月17日時点(2021年4月14日一部追記、2021年10月22日追記、2022年2月6日追記、2022年3月4日追記、2022年9月4日追記)。

 

13時チェックアウトのカプセルホテル

愛知県

サウナフジ(2022/3/4追記)*1 https://fto.co.jp/

12時チェックアウトのカプセルホテル

青森県

アサヒサウナ・カプセルイン弘前(2022/9/4追記) http://asahiweb.jp/

東京都

スパ&カプセル ニューウイング http://spa.new-wing.com/
サウナセンター https://sauna-center.jp/index.html
レインボー新小岩店 https://rainbow-sinkoiwa.wixsite.com/5122
ロスコ http://www.rosco.tokyo/
カプセルイン錦糸町 https://capsuleinn-kinshichou.tokyo/

神奈川県

スカイスパYOKOHAMA https://www.skyspa.co.jp/

千葉県

レインボー本八幡店 https://rainbow-motoyawata.wixsite.com/rainbow
カプセルホテル&サウナ ジートピア http://www.funabashi-sauna.com/
船橋グランドサウナ&カプセルホテル*2 http://funabashi-grandsauna.jp/
クレストイン松戸*3 https://www.crest-sch.com/index.html

愛知県

ウェルビー栄店(2022/2/6追記)*4 https://www.wellbe.co.jp/sakae/
ウェルビー今池店(2022/2/6追記)*5 https://www.wellbe.co.jp/imaike/
ウェルビー名駅店(2022/2/6追記)*6 https://www.wellbe.co.jp/meieki/
アペゼ(2022/2/6追記)*7 https://apz-spa.com/

京都府

サウナ&カプセルホテル ルーマプラザ(2022/2/6追記) https://www.rumor-plaza.jp/

兵庫県

神戸サウナ&スパ(2021/10/22追記) http://www.kobe-sauna.co.jp/

福岡県

ウェルビー福岡店(2022/2/6追記)*8 https://www.wellbe.co.jp/fukuoka/

11時チェックアウトのカプセルホテル

北海道

二コーリフレ(2022/9/4追記)*9 https://www.nikoh.info/%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97

栃木県

ザ・グランドスパ南大門(2022/9/4追記) https://nandaimon.co.jp/spa/

東京都

上野オリエンタル1 https://www.centurion-hotel.com/oriental_1/
上野オリエンタル2 https://www.centurion-hotel.com/oriental_2/
上野オリエンタル3 https://www.centurion-hotel.com/oriental_3/
水道橋アスカ http://www1.tcn-catv.ne.jp/asuka/index.html
船堀コア21(2021/4/14追記) http://www.saunacore21.jp/
カプセルホテル 渋谷(2021/4/14追記) https://www.capsulehotel-shibuya.jp/

富山県

スパ・アルプス(2021/10/22追記) http://www.sauna-alps.com/

福岡県

ホテルキャビナス福岡(2022/2/6追記) http://cabinas.jp/
グリーンランド中洲店(2022/2/6追記) http://greenland-group.jp/nakasu/
グリーンランド小倉店(2022/2/6追記) http://greenland-group.jp/kokura/


10時30分チェックアウトのカプセルホテル

宮城県

ホテル&サウナキュア国分町(2022/9/4追記) https://cure-kokubuncho.jp/pc/


10時チェックアウトのカプセルホテル

岩手県

サウナ&カプセル宮古(2022/9/4追記) http://www.sauna-capsule.fhd.jp/

宮城県

駅前人工温泉とぽす仙台駅西口店(2022/9/4追記) https://topos-hotel.jp/

東京都

サウナ&カプセルホテル北欧 https://www.saunahokuou.com/
Smart Stay SHIZUKU 上野駅前 https://shizuku-hotel.jp/uenoekimae/
スパリゾートプレジデント https://sparesortpresident.com/
サウナホテルニュー大泉 稲荷町*10 https://ooizumi.info/70552/%e7%a8%b2%e8%8d%b7%e7%94%ba%e5%ba%97/

かるまる https://karumaru.jp/ikebukuro/
池袋プラザ http://www.asia-hd.co.jp/ikebukuro.html

カプセルイン大塚 http://www.capsule-in-otsuka.co.jp/
サンフラワー https://www.sunflower-capsule.com/
新宿区役所前カプセルホテル http://capsuleinn.com/shinjuku/
℃ sauna + sleep Ebisu https://do-c.jp/ebisu/
℃ sauna + sleep Gotanda https://do-c.jp/gotanda/
サウナホテルニュー大泉 新大久保店(2021/4/14追記)*11 https://ooizumi.info/70552/%E6%96%B0%E5%A4%A7%E4%B9%85%E4%BF%9D%E5%BA%97/

コスモプラザ赤羽 http://www.asia-hd.co.jp/akabane.html
カプセル&サウナ みづほ http://www.mizho.net/
カプセルイン蒲田(ガーデンサウナ蒲田) https://www.rexinn.co.jp/kamata/
成増ホテルヒルトップ(2021/4/14追記) http://www.hotel-hilltop.com/

神奈川県

レックスイン川崎 https://www.rexinn.co.jp/kawasaki/
川崎ビッグ http://www.kawasaki-big.com/
カプセルプラス横浜(2021/4/14追記) https://capsule-plus.jp/

埼玉県

ザ・ベッド&スパ所沢 http://bed-spa.jp/

千葉県

天然温泉 湯〜ねる https://u-neru.com/
カプセルホテルふらる(2022/9/4追記) https://furaru.eyado.net/

愛知県

サウナイーグル(2022/2/6追記)*12 https://www.sauna-eagle.jp/

大阪府

ニュージャパン梅田店(2022/2/6追記) https://www.umedasauna-newjapan.jp/
サウナ&カプセル大東洋(2022/2/6追記) https://www.daitoyo.co.jp/spa/mens/
サウナ&カプセルアムザ(2022/2/6追記) https://www.daitoyo.co.jp/spa/amza/
グランドサウナ心斎橋(2022/2/6追記) https://www.grand-sauna.com/shinsaibashi/

9時にチェックアウトのカプセルホテル

浅草ROXまつり湯 https://www.matsuri-yu.com/
おふろcafé bivouac https://ofurocafe-bivouac.com/
成田空港温泉 空の湯 https://soranoyu.com/


雑感

 サウナイキタイの施設検索で、設備にカプセルホテルがあるところの一覧から、3ページ目までのうち関東にある施設をリストアップしたらこんな感じになった。基本は10時チェックアウトという感じらしい。気が向いたら関東以外も更新していくかも。

 いろいろ調べる中で、施設の立地が結構偏っていることが印象的だった。都内だと山手線の上野〜池袋までの北側、それ以外だと総武線京浜東北線の沿線で7割を占める印象。23区の西側とか全然出てこなかった。

*1:ルームアウトは11時。

*2:土曜日、祝祭日前日のみ12時チェックアウト。

*3:個室型カプセルとデラックスカプセルのみ12時チェックアウト。一般カプセルは10時チェックアウトなので注意。

*4:カプセル利用は11時30分まで。

*5:カプセル利用は11時30分まで。

*6:カプセル利用は11時30分まで。

*7:ルームアウトは10時30分。

*8:カプセル利用は11時まで。

*9:滞在自体はチェックインから24時間まで可能だが、11:00〜15:00はカプセル清掃のためカプセル内の滞在は不可。

*10:25時以降に宿泊でチェックインの場合のみ12時チェックアウト。

*11:25時以降に宿泊でチェックインの場合のみ12時チェックアウト。

*12:カプセルではなく宿泊ルーム

キャッシュレス化を進めるためにメインバンクを変えた話

 6月でキャッシュレスのポイント還元が終わってしまう。この事業が始まる前から、薄めの財布を使っていて小銭を貯めたくなかったこともあり、PASMOデビットカードでの支払いもなんとなく使っていた。キャッシュレス還元事業が始まってからは、どうしても現金でしか払えないお店以外は原則デビットカードでの支払いに切り替えるようにしたところ、小銭をいちいち数える手間がなかったり、スマホから口座残高がすぐに確認できて使途不明金が減ったなどのメリットもあり、7月以降もキャッシュレス主体で支払っていきたいと考えているところだ。

 とは言いつつも、今までは就職するときに給与振り込みの口座として作った三菱東京UFJの口座に紐づいたデビットカードをなんとなく使っていて、これがベストなのかを考えたことがなかった。そこで、キャッシュレスの終了を前に、合理的な支払いができる口座とデビットカードの組み合わせを考えることにした。結論としては、メインバンクを三菱東京UFJから住信SBIネット銀行に変更することにした。

今までの運用

 これまで使っていたのは、就職した際に給与振り込み用として開設した三菱東京UFJ銀行の口座と、これに紐づいた三菱UFJ-VISAデビットだった。

 UFJにした理由は、職場の最寄駅に支店があったから。住むことになった寮の近くには地銀しかなかったのだが、どうせ週5で職場に通うしお金を下ろす機会には困らないだろうから、寮の近くにある地銀の口座を開設するぐらいなら、職場近くのメガバンを取った方が利便性が高いだろうという判断である。この口座を開設するときに、三菱UFJ-VISAデビットも勧められたので、とりあえず発行して今に至っている。

 結果的に、キャッシュレスで支払うときに活躍していたのはこのカードだったので、発行しておいてよかったとは思っている。デビットカードで支払えば0.2%ではあるがキャッシュバックもあったので、小銭をジャラジャラさせながら現金で払うよりもありがたかった*1

今後の運用

 結果から言うと、今後はメインバンクを住信SBIネット銀行に変えることにした。住信SBIネット銀行というと、ミライノデビットPLATINUMを発行すれば、他行振り込みもATM利用も無料回数が増えて便利というレビューがあるのだが、筆者自身はこれにあまり魅力を感じなかったので、通常のミライノデビット(Mastercard)を発行することにした。

住信SBIネット銀行にした理由

 新たなメインバンク選びの基準は、デビットカードのキャッシュバック率を中心にしてみた。キャッシュバック率の高いデビットを調べると、ソニー銀行GMOあおぞら銀行あたりがよく出てきたのだが、これらのデビットでキャッシュバック率1%以上にするには、数百万円もの資産を預け入れる必要があるなどハードルが高かったので、貯蓄用の口座をあおぞら銀行に開設している筆者にとって、それらの条件を満たせるとは思えなかった。

 今回開設する口座はあくまでも月々の生活費の決済であり、多額の資金を預けるつもりは一切なかった。それならば、キャッシュバック率は常に0.8%だけど使い勝手が良さそうな住信SBIネット銀行とミライノデビットの組み合わせでいいんじゃないか、と考えた*2。無条件のキャッシュバック率で見れば、住信SBIネット銀行のミライノデビットがかなりの好条件だ。

ミライノデビットPLATINUM(Mastercard)にしなかった理由

 他方、ミライノデビットPLATINUMにしなかった理由は簡単で、得られるメリットに11,000円の年会費を払う価値が見出せなかったからである。

 ネット上でよく言われるメリットが、ミライノデビットPLATINUMにすればスマプロランク4になって、他行振り込みやATM引き出し手数料が15回ずつ無料になるという点だ。しかし、筆者は月々15回も振り込まないし引き出さない。直近数か月を見ても、引き出しは5回/月*3、振り込みは多くて2回/月なので、スマプロランク3であれば十分だった。

 スマプロランク3にするには、(1)給与口座への指定、(2)デビット利用額が月額3万円以上、の2点を満たせば良さそうだったので、11,000円の年会費は払う必要がなさそうだと思った次第。

見込まれる効果

 家賃、水道、ガス、電気、携帯、NHK、保険料などの固定費を全部合計すると10万円弱になるはずなので、これがデビット経由で0.8%還元になると800円/月の計算になるので、結構驚いている。これに日常の買い物の支出も乗っかれば、1,000円/月ぐらいは見込めそう。今までは還元率0.2%の三菱UFJ-VISAデビットだったし、そもそも固定費も口座振替が多かったので、かなり取りこぼしていたことに結構ショックを受けた。

 今年度から貯蓄用の口座をあおぞら銀行bank支店に変えているので、ここで貯まった利息とキャッシュレスの還元分を合わせれば、豪華なディナーなんか食べに行けるかもしれない。ちょっと楽しみ。

*1:ただしよく調べていなかっただけで、キャッシュバック率がもっと高いデビットカードは色々あったので、もっと早く調べていればよかったと後悔している。

*2:楽天銀行もポイント還元率は1%だったのだけど、楽天があまり好きではなかったのと、できればキャッシュバックの方がいいなと思ってしまった。

*3:とはいえ今後キャッシュレスで支払う回数も増えてくると思うので、ATMで現金を引き出す回数自体がさらに減ってくると思う。

サウナは万能薬なのか?

 コロナ自粛が続いてストレスが溜まっている。5月末に彼女と会う予定が飛んでしまって癒しがなくなり、6月の頭に仕事で無用な調整をせざるを得なくなった結果、ストレスに耐えきれなくなってしまった。我ながら恥ずかしい話ではあるのだが、仕事中からイライラして貧乏ゆすりがやめられず、とてもではないが飯を作る余裕もなく、帰る道すがら行きつけのお弁当屋さんで弁当を買ったはいいものの、食べようと思って開けた割り箸がうまく割れずにブチ切れてしまい、思いっきり床に割り箸を投げつけたところで我に返った。これはやばい。

 ということで、金曜日に有給を使うことにした。土日に多くの人が集まりそうなサウナでも、平日有給ならそこまでコロナの心配をせずに行くことができるのではないかという思惑もあり、スカイスパYOKOHAMAに行くことにした。

 実に3か月ぶりのスカイスパである。久しぶりのサウナでしっとり蒸され、よく冷えた水風呂に沈み、椅子に腰掛ける。久しぶりのサウナで、手足がビリビリして心拍数も上がるのだけど、正直思ったほどの波は来なかった。確かに気持ちいいのだけど、スカイスパってこんな感じだっけ、という違和感は残ってしまった。

 変わって日曜日。依然として彼女とのやりとりがうまく行かず、心が落ち着かない状態が続く。家にいても落ち着かないので、急遽サウナを目指すことにする。県内で、あまり人が集まらなそうなところ。送迎バスの運行が中止になっていると聞くし、ヨコヤマ・ユーランド鶴見か。いやしかしサウナ復帰直後で関東最冷の水風呂は体がついていかないのでは。じゃあ並んでいるが行ったことはないおふろの国にしてみようか。ということで、鶴見駅から路線バスに揺られ、井上皇帝のお膝元ファンタジーサウナ&スパおふろの国への入国と相成った。

 一通り体を洗ってから湯船で体をあたため、満を持して高温サウナに入り、最上段に腰掛ける。8分でギブアップして水風呂に沈む。露天に移動して椅子に腰掛ける。手足は少しピリピリするものの、やはり期待していたほどにはテイクオフできない。普段であれば、首も脱力した状態でしばらく休憩し、そこから首を座らせると、堰き止められていた血液とともに頭に快感が流れ込んでくる感覚があるのだけど、なぜか入ってこない。その後も何セットか繰り返してみたものの、思うような恍惚感は得られなかった。あまり思い悩みすぎている状態だと、心を解放しきれなくて、ととのいきることができないのかも知れない。

 ということで、不完全燃焼のままおふろの国からの帰国となってしまったのだけど、最終的に地元に戻ってきて久しぶりに訪れた中華料理屋で食べた茄子と海老の味噌炒めがサウナ後の体に染み渡ってくれて、少し気分が回復してくれた。サウナで直接気分が回復するわけではなかったとしても、サウナへの往復やサウナ飯も含めてみるとやはり薬ではあるのかもしれない。

早くコロナが終息して、気兼ねなくサウナに行ける環境になってほしいと思う。

リモートワークと外出自粛でストレスが発散できなくてつらい話

 たまたま、週間はてなブログのページを見ていたら、「#おうち時間」というお題が出ていたので、最近考えていることと近そうだったので、書いてみることにした。在宅勤務が始まって自宅に滞在する時間がめちゃくちゃ伸びたのだけど、ストレスが溜まってしんどいので、供養する意味で文章にしてみたいと思う。

リモートワークとコミュニケーション

 緊急事態宣言が出てから、僕が勤めている会社も部分的にリモートワークが始まった。うちの会社では、4月に入ったぐらいに「モバイルPCが与えられて社内のシステム類にもアクセスできるとすれば、あなたの仕事は何割ぐらい在宅でできそうですか?」というような意見照会が行われた。このとき僕は、なんだかんだ週3〜4日ぐらいならリモートワークできるんじゃないかな、なんていうことを漠然と考えていて、課内の他のメンバーも必ずしも出社しなくてもある程度仕事ができるという認識を持っていたらしく、うちの部署は緊急事態宣言が出た直後からリモートワークを始めることとなった。その結果、週1回程度の出社を続けつつ、ゴールデンウィークに突入した。

リモートワークで仕事は減った

 リモートワークの初日は、いつもと違う自宅での仕事やモバイルPCの小さい画面に戸惑いながら、なんだかんだ1日を通して仕事に専念することができた。ところが、2週間目に入ったぐらいから、徐々にやることが減ってきたことに気づき始めたのである。なぜだろうか?

 思いついた一つの理由は、リモートワークだと上司や同僚が近くにいないので、小さな頼まれごとが発生しなくなったことである。毎日出社して席にいれば、上司も「ちょっとこれいいかな?」と気軽にお願いしやすいのだろうと思うし、自分も部署内最年少なので雑務を拾うことは意識しているため、「誰もやらないけどこれはやっておいた方が良さそうだな」というようなことに気が付いたら、意識的に引き受けるなどしていた。ところが、リモートワークで物理的に離れたことで、上司もお願いするために払うコストが増えてしまったのか、僕に回ってくる頼まれごとがなくなった*1。さらに、他の人が困っているところを目にすることもないので、「次から困らないように改善策を考えよう」みたいなことを考える業務改善のきっかけもなくなってしまった。こういった細々した本業ではない仕事に気を取られることがなくなった結果、自分の仕事に専念できるようになったというのが1つの真相ではないかと思う。上司としてみれば、普段なら気軽に僕にパスできた雑務を自分でこなさざるを得なくなっているかもしれない*2

リモートワークでストレスは増えた

 他方で不思議なことに、僕の仕事が減った割にストレスは増えたのである。その理由は、業務中の雑談がなくなったことにあると思う。

 仕事をしていればストレスはつきものである。思わぬトラブルであったり、依頼していた仕事が締め切りまでに帰ってこなかったり、色々な調整ごとがうまくいかなかったりする。そんな時、出社していれば、隣の席にいる同僚や上司に愚痴のような雑談のようなとりとめのない話をすることでガス抜きができたりするし、他人の愚痴を聞いて「そういえば僕もこんなことがあったんですけどね・・・」的な感じで乗っかって、自分が受けたストレス話を供養することもできる。しかし自宅で一人で仕事をしていると、さすがにわざわざ上司に電話して愚痴を言うわけにもいかないので、受けたモヤモヤがしばらく自分の中に残ってしまうのである。雑談のストレス発散力というのはあなどれないのだな、と痛感している。

 また、出社している時であれば、帰り道にサウナに寄ってストレスを水風呂に沈めてきたり、たまたまロッカーで会った同僚と飯を食いに行ったり、数駅分歩いて心を落ち着かせてみることもできる。ところが自宅で仕事をしていると、終業した瞬間に自宅にいるので、帰り道に行う類のストレス発散ができないのである。別に自宅でも本を読んだり動画をみたりストレスは発散できないことはないのだけど、ストレスを発散する選択肢が著しく減ってしまったため、仕事のストレスがいまいち消化しきれずにいるのである。

外出自粛でストレスが発散できない

 平時であれば、彼女と出かけるなりサウナに行くなり野球を見に行くなりカメラを持って出かけるなり、休日にストレスを癒す方法はたくさんあるのだけど、今はできないもしくはしない方が望ましいことばかりで、思うようにストレスが発散できない。サウナの代わりに自宅の風呂で汗を流したり、ランニングや散歩で体を動かしたりしているけど、おうち時間をもっと楽しめるようにならないと、遠からぬうちにパンクしてしまうような気がして、結構怖い。本当は、しんどい時でも楽しく過ごせるようにいろいろネタを考えられればよいのだけど、なかなか思考がポジティブにもなってくれなくて頭を抱えてしまう。

 一人暮らしだと家族と話すこともないので、本当にコミュニケーションをとることができない。早くみんなとワイワイできるように戻って欲しいと願いつつ、自宅で充実した一人暮らしライフを送るためのネタを求めて、#おうち時間のお題を眺めることにする。

*1:出社していれば「ちょっといい?」でお願いできた内容が、わざわざ電話をかけるなりメールなりを打たねばならないので、不急の仕事をあえて今パスするインセンティブが減っているのだと思う。

*2:急ぎではないがやっておくといずれ楽になるという仕事が僕に落ちてきているだけで、パスできないならそれはそれで困っていないのかもしれない。

オンライン飲み会をやって思ったことを色々書く

 COVID-19に苦しめられている。

 別に感染したわけではない。でも3月末ぐらいから週末の外出をとりやめて、4月の途中から在宅勤務となってほぼ出社しなくなり、ゴールデンウィークも実家に帰ることなくなったので、食事のためにスーパーに行くか、どうしようもなくてランニングに行く以外は自室に引きこもる生活を送っている。もともとめちゃくちゃアウトドア派というわけではないので、家に引きこもっていること自体はなんとかなるのだけど、「恋人に会えない」とか「サウナにいけない」のように外出を伴わなければ満たされない欲望というのもそれなりにあって、これらが制約されていることで本来なら発散されているはずのストレスが発散できないだけでなく、我慢することによるストレスが余計に増えることとなってしまった。

 他方、ストレス発散の手段は限られてくるのに仕事は仕事で待ってくれない。趣味とか飯に使うはずの自宅のデスクをだんだん仕事が浸食してくるから、家にいるのに何となく仕事のことを考えてしまったりするので、仕事で蓄積するストレスというのも日常よりペースが早いように感じる*1

 ということで悶々としていたところ、週5勤務に戻る前に5回ほどオンライン飲み会を行う機会に恵まれたので、その感想を少し書いておこうと思う。

食べ物と飲み物の話

 飲み会といえば酒とアテである。

 まず、オンライン飲み会だと通常の飲み会より食べられる品数が少なくなることに気がついた。店で飲むときは、お品書きを見ながら「なに食べる〜」「あれええやん!」「あ、これも食べたい」みたいなノリでいろいろ注文するけど、大量に来ても参加者も多いので、頼みすぎたと思っても案外食べ切ってしまう。

 ただ、オンライン飲み会の準備でコンビニに行き、同じテンションでアテを探すとえらいことになる。食べたいものは多いくせに、自宅でPCの前に座っているのは自分一人なので、いっぱい頼みすぎると大飯食らいとはいえさすがに食べ切れない量を買ってしまいかねないのである。さらに、二日酔い防止のために序盤はしっかり飯を食おうと思って白米も炊いておいたりするので、余計にアテを食う量が減ってしまう。結局、5品買ったのに3品と白米で腹一杯という展開を迎えてしまった。とはいえ、早々に腹が膨れるので酒の回りも遅いので、すぐに寝られる環境で飲んでいる割に、泥酔することなく終始楽しく飲めたのは思わぬメリットだったと思う。

 考えてみれば当然の話なのだけど、いろんな種類をちょっとずつ食べながら酒が飲めるというのは、対面だからこその贅沢なのだった。ただし、自分でスーパーに買い出しに行って食べたいものを買えるので、食べ切れないほどの食材を買ってきたとしても、飲み会にかかる費用としてはリアルの飲み会よりも断然少なくて済むのが非常に良かった

会話の話

 飲み会といえば会話である。

 久しぶりに会った人でも、頻繁に飲む人でも、会えば飲んだテンションで会話をする。当然、自分が発したことが相手に伝わり、相手が発したことが自分に伝わってこないと、コミュニケーションは不調に終わってしまうのだけど、オンライン飲み会では意外とここに落とし穴があった。

 オンライン飲み会のツールは色々提案されていて、LINEのビデオ通話、Zoom、たくのむなどが最近の定番のように思う*2。当然ながらいずれのツールもインターネット環境がないと通話できないのだけど、回線が遅いと音声が途切れて会話が止まってしまうことがしばしばあった。

 いくつかのツールを使った結果、ツールごとに特徴があるように感じたので、少し覚書として残しておこうと思う。

LINE

 3回実施。定番中のド定番。みんながアカウントを持っており、グループがあればそのまま通話を始めることができる。途中参加も途中退室も自由なのが良い。スマホ参加だと4人しか画面に表示されないそうだけど、PCから参加していた筆者は自分も含めて全員の顔が見えていた*3
 回線が遅い人がいた場合、音声は比較的途切れないがビデオが停止する傾向にある。自分の回線が遅いと思われる場合、自分だけカメラをオフにして音声だけの参加にすることで、他のメンバーのビデオが多少動くようになる模様。

たくのむ

 1回実施。ブラウザ上でオンライン飲み会ができるツール。主催者が部屋を開き、参加者にURLを通知し、参加者が加わることでビデオ通話が開始される。使用にあたってアカウントは必要ないようなので、LINEのグループが作られていない単位で飲み会をやるときに便利そう。
 ただし、回線が遅い場合、ビデオはカクつきながら届くものの肝心の音声がとぎれてしまい、何を聞かれているのか分からない状況が発生した。聞き返してもよく聞き取れないので、チャットで質問を投げてもらってそれに答えるという謎の展開でカバーしていたけど、飲み会ツールで音声より動画が優先されてしまうのはちょっと不満な点だった。なお、たくのむは1回しか使っていない上、前日と当日にポケットWi-Fiで大量に通信していたので、筆者の通信環境が悪すぎただけである可能性は否定できない。

Zoom

 1回実施。ホストがアカウントを持っていれば、ゲストはアカウントがなくても参加できる。PCであればURLをクリックすればZoomがダウンロードされ、参加できるらしい。iPhoneの場合は事前にApp StoreからZOOM Cloud Meetingsというアプリをダウンロードしておく必要がある。その後、ホストから教えてもらったURL開くことで、Zoomアプリが起動して参加できるようになる*4
 基本的にビデオも音声も良好で、オンライン飲み会のツールの中では一番環境が良かった。後半で1人の回線が遅くなってきたのか、微妙に音声が途切れた場面もあったものの、2時間の飲み会中にコミュニケーションに困る場面はほぼなかった。専用のアプリが必要だったり、主催者がアカウントを持っている必要はあるものの、主催者がアカウントを持ってさえいればZoomで飲み会をやるのが一番いいかもしれない。

感想

 というわけで、飯と酒と会話についてのメモを書いた次第。オンライン飲み会のメリットは、宅飲み特有のコスパの良さと自宅でできる手軽さを兼ね備えているところにあって、ツール次第では非常に楽しめることがよくわかった。ツールについては、専用のアプリが必要なものほど通信環境も良い傾向があるように思う。今回使った3つの中では、

  • 通信品質 Zoom>LINE>たくのむ
  • 手軽さ LINE≧たくのむ>Zoom

という感じなので、ツール選びは次のような感じで良いのではなかろうか。


(1)メンバーの誰かがZoomのアカウントを持っている場合はZoom
誰もZoomのアカウントを持っていない場合、
(2)LINEのグループが作られていればLINEビデオ通話
(3)LINEのグループが作られていなければたくのむ


 LINEビデオ通話以外のオンライン飲み会の回数が増えて知見が更新されたら、また加筆するかもしれない。それでは、よいオンライン飲み会ライフを。

*1:仕事はストレスが溜まるとはいえ、出社して隣の席の上司と仕事なのか雑談なのかよく分からない話をしたり、休憩時間にたまたまあった先輩とくだらない話をしたり、帰り道にロッカーであった友人と晩飯を食べに行ったりと、それなりにストレスを発散する機会に恵まれていたのだということを噛み締めている。

*2:skypeも無料でビデオ通話ができるツールとして昔はよく使われていたような気がするのだけど、最近のオンライン飲み会の中ではあまり使われていないような印象がある。参加者全員がアカウントを持っていないと通話できないがLINEほど普及していないからだろうか。

*3:PCなら16人までならビデオ通話ができるらしい。それを超えるとアイコンが表示されるのだとか。

*4:iPhoneの場合、LINEで教えてもらったミーティングURLをそのままタップしてもZoomアプリは開かれなかったので、URLをSafariにコピペする必要があった。Safariで開いたら自動でZoomアプリが起動した。