サウナと野球と時々カメラ

意識の低い政治学徒だった人の日記。週末サウナー。

万年筆には同じメーカのインクを入れるべきなのかもしれない

 大学生の頃に万年筆を買って以来、少しずつ買い足して、何本か所持している。初めて買ったのはLAMYのAlstarで、その後無印良品で売っていた鉄ペンを買い*1、その後初めての金ペンとしてParkerのSonnetを買った。

 Sonnetにはコンバーターが付いていたこともあって、初めてのボトルインクを買うことにした。特に深い理由はなかったと思うが、買ったインクは確かセーラーのジェントルインクで、色はブルーブラックだった。早速コンバーターで吸引してみたのだが、どうにも書き心地が気に入らない。金ペンの書き心地はクセになる、次第にイリジウムが削れて馴染んでくる、という前評判を聞いていた割にはAlstarとの書き心地の違いがよくわからないし、書いていてもなんだかザラザラした感じがする。「あれ、金ペンの書き心地ってこんなもの?」と思ってしまい、どうにも普段使いするまでに至らなかった。しかも、インクがすぐ乾いてしまうことに定評のあるParkerのSonnetである。少し経って気が向いたから使ってみようか、と思った時にはインクが出ない。そんなことを数回繰り返しているうちに、面倒になって放置してしまった。

 それから7〜8年経った先日、思いがけずペン立てにSonnetが挿さっているのを見つけてしまった。まだ書けるだろうか、と思ってぬるま湯に浸けてみると、すぐに中からインクが溶け出してきた。ぬるま湯を入れ替えながら何日か置けば、また復活するのではと思い立ち、試してみた。3〜4日でインクが出なくなったので、文具屋に繰り出してParkerのQuinkカートリッジインク黒を買ってきた。帰宅してわくわくしながらカートリッジを挿して、インクが充填されるのを待つ。そして書く。

 すると、以前の書き心地が気に入らなかったのが嘘のように、なめらかにペンが走る。たまたま手元にあったコピー用紙の上を、するするとペンが滑っていく。なんだこの書き心地は?何かを書かなければならないわけではないが、このまま文字を書きたくなる。おもむろに手がとどく範囲にあった本を開き、目についた文章をとりあえず書いてみた。書ける。これは書きやすい。

 何がきっかけでこんなに書きやすくなったのか。理由はよく分からない。もしかしたら、単純に時が経ったことで、Sonnetのような書き心地のペンが好きになっただけかもしれない。でも、なんとなく万年筆とインクのメーカーを合わせたのが理由なんじゃないか、と勝手に思っている。メーカーがインクを開発する時にも、自社のペンで最良のパフォーマンスを発揮できるようにしているというのも聞くし。

 結果的に、久しぶりに万年筆をとって、同じメーカーのインクを入れた結果、すごく書き心地が良くなってしまったので、職場でもメモをとる量がめちゃくちゃ増えてしまった。スケジュール帳のtodoリストも、書記役で参加した打ち合わせの議事メモも、電話の伝言も、とにかく職場で物を書く量が増えた。インクを入れてからまだ1か月も経っていないのに、カートリッジのインクがなくなりそうだ。これはボトルインクを買った方がいいかもしれない。

*1:結局あまり使わずにすぐに処分してしまった記憶がある。細身の鉄ペンだったので、ガリガリ書けるのはメリットだったのだが、もともと筆圧の強かった筆者が使うとすぐに疲れてしまい、試験の答案用紙を書くのに数回使ったっきりだったと思う。